
人荷共用エレベーターは、人と荷物の両方を運ぶことを目的としたエレベーターです。
工場、倉庫、物流施設、商業施設、バックヤードなどでは、作業者が荷物と一緒に移動したり、台車やパレットを使って荷物を搬送したりする場面があります。
そのような現場では、単に「何人乗れるか」だけでなく、「どのような荷物を運ぶのか」「台車を使うのか」「作業者も一緒に乗るのか」「一度にどのくらいの重量を載せるのか」を確認したうえで、積載荷重やかご寸法を検討することが大切です。
今回は、人荷用エレベーターの定員の考え方や、計画時に確認しておきたいポイントについてご紹介します。
人荷用エレベーターとは?
人荷用エレベーターとは、人と荷物の両方を運ぶことを目的としたエレベーターです。
荷物用エレベーターは、原則として荷物を運ぶための設備であり、人の輸送を目的としたものではありません。
一方、人荷用エレベーターは、人が乗ることを前提とした安全装置や操作性を備え、作業者と荷物を一緒に運ぶことができます。
例えば、工場内で作業者が部品を載せた台車と一緒に移動する場合や、倉庫で荷物を載せた台車を押して上下階へ移動する場合には、人荷用エレベーターが検討されます。
人が乗ることを前提とするため、用途や仕様を決める際には、安全性、操作性、かご寸法、積載荷重、使用頻度などを総合的に確認する必要があります。
積載数と積載荷重の違い
人荷用エレベーターを計画する際には、「積載数」と「積載荷重」を分けて考えることが重要です。
積載数(定員)とは、一般的には何人乗れるかを示す上限のことです。
一方、積載荷重とは、エレベーターに載せることができる重さを示します。
乗用・人荷用エレベーターでは、定員を考える際に、1人あたり65kgとして計算されることが一般的です。
例えば、積載荷重が1,000kgの場合、単純に65kgで割ると約15人分となります。
ただし、人荷用エレベーターでは、実際には人だけでなく、荷物や台車を一緒に載せることがあります。
そのため、定員だけを見て判断するのではなく、実際に載せる荷物、台車、作業者の人数を合わせて考える必要があります。
積載荷重はどのように決めるのか?
人荷用エレベーターの積載荷重は、実際の使用状況をもとに検討します。
まず確認するのは、搬送する荷物の最大重量です。
製品、部品、原材料、工具、台車、パレットなど、どのようなものを運ぶのかを整理します。
次に、荷物を載せる台車やパレットの重量も確認します。
荷物だけでなく、台車そのものの重量も積載荷重に含めて考える必要があります。
さらに、人が一緒に乗る場合には、作業者の人数も考慮します。
例えば、次のような考え方です。
項目 例
荷物の重量 :600kg
台車の重量 :100kg
作業者 :2名 × 65kg = 130kg
合計 :830kg
この場合、単純な合計では830kgとなります。
しかし、実際の計画では、荷物の増減、将来的な運用変更、積み方、使用頻度なども考慮し、余裕を持った積載荷重を検討することが大切です。
かご寸法も同時に確認する
積載荷重だけでなく、かご寸法も重要です。
たとえ重量としては載せられる場合でも、荷物や台車がかご内に収まらなければ使用できません。
確認したいポイントは次の通りです。
• 荷物の幅・奥行き・高さ
• 台車やパレットの寸法
• 作業者が一緒に乗るスペース
• かご内で台車を操作できる余裕
• 出入口の幅と高さ
• 乗場側のスペース
• 搬入・搬出時の動線
特に台車を使用する場合、かごに入るかどうかだけでなく、押し込みやすいか、出しやすいか、乗場で方向転換できるかも確認する必要があります。
人荷用エレベーターは、人と荷物が同じ空間を使うため、安全に乗り降りできる余裕を持たせることが大切です。
かご寸法から積載荷重を考える方法
人荷用エレベーターでは、搬送する荷物の重量から積載荷重を検討するだけでなく、かご寸法から必要な積載荷重を確認することも重要です。
かごが大きくなると、人や荷物を多く載せることができるため、その床面積に応じた積載荷重を確保する必要があります。
まず、かごの床面積を求めます。
かご床面積 = かご幅 × かご奥行
例えば、かご幅が1,500mm、かご奥行が2,000mmの場合、
1.5m × 2.0m = 3.0㎡
となります。
人荷用エレベーターは、人が乗ることを前提としたエレベーターのため、かご床面積に応じた積載荷重を確認します。
目安として、乗用・人荷共用エレベーターでは、かご床面積に応じて次のように考えます。
かご床面積 積載荷重の考え方
1.5㎡以下 床面積 × 3,600N
1.5㎡を超え3.0㎡以下 5,400N +(床面積 − 1.5㎡)× 4,900N
3.0㎡を超える場合 13,000N +(床面積 − 3.0㎡)× 5,900N
kgに換算する場合は、Nを9.8で割って考えます。
積載荷重kg = N ÷ 9.8
例えば、かご床面積が3.0㎡の場合、
5,400N +(3.0㎡ − 1.5㎡)× 4,900N
= 5,400N + 7,350N
= 12,750N
これをkgに換算すると、
12,750N ÷ 9.8 = 約1,301kg
となります。
この場合、かご寸法から考えると、約1,300kg以上の積載荷重 がひとつの目安になります。
さらに、定員を考える場合は、1人あたり65kgとして計算します。
1,300kg ÷ 65kg = 20人
つまり、かご幅1,500mm、奥行2,000mmの人荷用エレベーターでは、かご床面積から見ると、積載荷重は約1,300kg、定員は約20人が目安となります。
ただし、人荷用エレベーターでは、人だけでなく荷物や台車を一緒に載せることがあります。
そのため、かご寸法から算出した積載荷重だけでなく、実際に運ぶ荷物の重量、台車の重量、作業者の人数、使用頻度、将来的な運用変更も含めて検討することが大切です。
例えば、次のような使用を想定する場合です。
項目 例
荷物の重量 :800kg
台車の重量 :150kg
作業者 :2名 × 65kg = 130kg
合計 :1,080kg
この場合、合計重量は1,080kgです。
先ほどのかご寸法から算出した目安が約1,300kgであれば、重量面では検討可能な範囲に入ります。
しかし、実際には荷物の偏り、台車の車輪による集中荷重、出入口寸法、乗場スペース、かご床の強度なども確認する必要があります。
そのため、人荷用エレベーターの積載荷重は、
「かご寸法から求める積載荷重」 と
「実際に載せる荷物・台車・人の合計重量」
の両方を確認し、大きい方を基準に検討することが大切です。
よくある質問
Q. 人荷用エレベーターの定員はどのように決まりますか?
A. 乗用・人荷用エレベーターでは、一般的に1人あたり65kgとして定員を考えます。ただし、人荷用エレベーターでは荷物や台車を一緒に載せることがあるため、実際の運用では荷物重量、台車重量、作業者人数を合わせて確認することが大切です。
Q. かご寸法から積載荷重を決めることはできますか?
A. はい。人荷用エレベーターでは、かご床面積に応じた積載荷重を確認する必要があります。まず、かご幅×かご奥行で床面積を求め、その面積に応じた積載荷重を算出します。ただし、実際の計画では、荷物の重量、台車重量、作業者人数、使用頻度、かご床への負担も合わせて確認することが大切です。
Q. 積載荷重が大きければ、かご寸法は小さくても大丈夫ですか?
A. いいえ。重量としては問題がなくても、荷物や台車がかご内に収まらなければ使用できません。かご寸法、出入口寸法、乗場スペースも合わせて確認する必要があります。
Q. 台車の重量も積載荷重に含めますか?
A. はい。荷物だけでなく、台車やパレットの重量も含めて考える必要があります。作業者が一緒に乗る場合は、作業者の人数も含めて確認します。
Q. 将来、運ぶ荷物が変わる可能性がある場合はどうすればよいですか?
A. 将来的に搬送物が変わる可能性がある場合は、現在の荷物だけでなく、今後想定される最大重量や寸法も確認しておくことをおすすめします。余裕を持った仕様にすることで、将来の運用変更にも対応しやすくなります。
まとめ
人荷用エレベーターの積載数を決める際には、単に「何人乗れるか」だけでなく、荷物の重量、台車やパレットの重量、作業者の人数、かご寸法、出入口寸法、使用頻度などを総合的に確認することが大切です。
乗用・人荷用エレベーターでは、定員は一般的に1人あたり65kgとして考えます。
しかし、人荷用エレベーターでは、荷物と人を一緒に運ぶことがあるため、実際の使い方に合わせた積載荷重の検討が必要です。
また、かご寸法から求める積載荷重と、実際に載せる荷物・台車・作業者の合計重量の両方を確認し、現場の使い方に合った仕様を検討することが大切です。
三洋輸送機工業では、荷物用・人荷共用エレベーターを中心に、工場、倉庫、物流施設などの現場条件に合わせた仕様検討を行っています。
搬送物の重量や寸法、台車の使用、作業者の動線まで確認し、安全で使いやすいエレベーターをご提案いたします。
人荷用エレベーターの積載数や仕様でお悩みの際は、まずはお気軽にご相談ください。
執筆者紹介
三洋輸送機工業株式会社 営業・技術担当
荷物用・人荷共用エレベーターを中心に、工場、倉庫、物流施設、既存建物など、さまざまな現場のご相談に対応しています。
搬送物の条件だけでなく、建物条件、使用方法、積載荷重、かご寸法、保守性まで確認し、安全で使いやすい設備をご提案することを大切にしています。