
工場や倉庫、物流施設では、原材料、部品、製品、台車、パレットなど、日々さまざまな荷物が搬送されています。
近年では、人手不足や作業効率化への対応として、AGVやAMRなどの自動搬送ロボットを導入する現場が増えています。
しかし、AGVやAMRだけでは、同じフロア内の水平搬送はできても、上下階をまたいだ搬送には限界があります。そこで重要になるのが、AGV・AMRとエレベーターの連動です。
AGVとエレベーターを連動させることで、AGVが自動でエレベーターを呼び、乗り込み、目的階へ移動し、降りた後も搬送を継続できるようになります。
今回は、AGV・AMRの基本的な考え方から、エレベーターとの連動方法、連動させるメリット、計画時に確認したいポイントについてご紹介します。
そもそもAGV・AMRとは?
AGVとは「Automated Guided Vehicle」の略で、日本語では無人搬送車と呼ばれます。工場や倉庫内で、部品、製品、台車、パレットなどを自動で運ぶために使われる搬送設備です。
AGVは、あらかじめ決められたルートに沿って走行し、繰り返し発生する搬送作業の省人化に役立ちます。
一方、AMRとは「Autonomous Mobile Robot」の略で、自律走行搬送ロボットと呼ばれます。AGVが決められたルートを走行するのに対し、AMRは周囲の状況を確認しながら、より柔軟に走行できる点が特徴です。
AGV連動エレベーターとは?
AGV連動エレベーターとは、AGVやAMRなどの自動搬送ロボットとエレベーターを連携させ、階をまたいだ荷物搬送を自動化する仕組みです。
通常、AGVは決められたルートや指示に従って、工場や倉庫内を自動で走行します。ただし、別の階へ移動する場合には、エレベーターの呼び出し、扉の開閉、乗り込み、行先階の指定、到着後の降車といった動作が必要になります。
AGVとエレベーターを連動させることで、これらの動作を人が操作せずに行えるようになります。
例えば、1階で荷物を積んだAGVがエレベーターを呼び、自動でかご内へ乗り込み、2階や3階へ移動し、目的の場所まで搬送を続けるような運用が可能になります。
どのようにエレベーターと連動するのか?
AGVとエレベーターを連動させるには、AGV側の制御システムと、エレベーター側の制御盤をつなぎ、信号をやり取りできるようにする必要があります。
流れとしては、まずAGVがエレベーター前に到着します。次に、AGV側からエレベーターへ「呼び出し」の信号を送ります。
エレベーターが到着し、扉が開くと、AGVはかご内へ進入します。その後、AGV側から目的階の信号を送り、エレベーターが目的階へ移動します。
目的階に到着して扉が開くと、AGVはかごから降り、次の搬送先へ向かいます。
つまり、AGV連動では、単にエレベーターを呼ぶだけではなく、目的階へ安全に移動できるような信号連携が必要になります。
これらをAGV側とエレベーター側で連携させることで、上下階をまたいだ自動搬送が可能になります。
連携方法は、AGVメーカー、エレベーターの仕様、制御盤の状態によって異なります。新設エレベーターであれば、AGV連動を前提に制御盤や信号の取り合いを計画しやすくなります。
AGV連動を検討する際は、AGVメーカー、建設会社、エレベーターメーカーが早い段階で情報共有し、どのタイミングで、どの信号をやり取りするのかを整理しておくことが大切です。
AGVとエレベーターを連動させるメリット
AGVとエレベーターを連動させる大きなメリットは、上下階をまたいだ搬送を省人化できることです。
通常、荷物を別の階へ運ぶ場合、人が台車を押してエレベーターを呼び、荷物を乗せ、目的階で降ろし、次の場所まで運ぶ必要があります。
AGV連動を行えば、この一連の搬送作業を自動化しやすくなります。人がエレベーターを操作したり、別フロアで荷物を受け取ったりする作業を減らせるため、作業者の負担軽減につながります。
また、搬送ルートを自動化することで、決められた時間に、決められた場所へ荷物を運びやすくなります。部品供給、製品搬送、工程間搬送、入出庫作業など、繰り返し発生する搬送業務の安定化にもつながります。
計画時に確認したいポイント
AGVとエレベーターを連動させる場合、エレベーター単体だけでなく、AGV側の仕様や建物全体の動線も合わせて確認する必要があります。
まず確認したいのは、AGVの寸法、重量、積載物の大きさ、旋回に必要なスペースです。AGVがかご内に安全に乗り込めるか、乗場で方向転換できるか、扉の開口寸法が十分かを確認します。
次に、エレベーターのかご寸法、積載荷重、出入口寸法、停止精度、扉の開閉時間も重要です。AGVがスムーズに乗り降りするためには、かごと乗場の段差や停止位置も確認する必要があります。
また、AGVとエレベーターの信号連携も重要です。エレベーターを呼ぶ、扉を開閉する、行先階へ行く、といった情報をどのようにやり取りするかを整理しておく必要があります。
よくある質問
Q. AGVとAMRの違いは何ですか?
A. AGVは、あらかじめ決められたルートに沿って走行する無人搬送車です。AMRは、周囲の状況を確認しながら、より柔軟に走行できる自律走行搬送ロボットです。どちらも工場や倉庫内の搬送を自動化するために使われます。
Q. AGVとエレベーターを連動させると何ができますか?
A. AGVがエレベーターを呼び出し、乗り込み、目的階へ移動し、降りた後も自動で搬送を続ける運用が可能になります。上下階をまたいだ搬送の省人化につながります。
Q. AGVとエレベーターはどのように連動するのですか?
A. AGV側の制御システムとエレベーター側の制御盤を連携させ、呼び出し、扉を開閉する、行先階へ行くなどの信号をやり取りすることで連動します。
Q. 既存のエレベーターでもAGV連動はできますか?
A. 弊社製のエレベーターに限りますが、設備の仕様や制御盤の状態、建物条件によって異なります。既存設備の場合は、エレベーター側の制御、かご寸法、出入口寸法、乗場スペース、通信環境などを確認する必要があります。
Q. 建設会社はいつ相談すべきですか?
A. 基本設計や設備計画の段階での相談がおすすめです。AGVの搬送ルートや待機場所、エレベーター仕様が建物計画に関わるためです。
まとめ
AGVとエレベーターを連動させることで、同じフロア内だけでなく、上下階をまたいだ荷物搬送の自動化が可能になります。
これにより、作業者の負担軽減、搬送効率の向上、省人化、搬送作業の安定化につながります。
一方で、AGV連動を行うためには、エレベーターのかご寸法や出入口寸法、積載荷重、停止精度、乗場スペース、通信環境、制御盤との信号連携など、事前に確認すべき項目があります。
三洋輸送機工業では、様々なAGVメーカーと連動実績がございます。ご検討の際は、お気軽にご相談ください。
執筆者紹介
三洋輸送機工業株式会社 営業・技術担当
荷物用・人荷共用エレベーターを中心に、工場、倉庫、物流施設などの現場に合わせた昇降設備のご相談に対応しています。搬送物の条件だけでなく、AGVや台車との連携、作業動線、建物条件まで確認し、安全で使いやすい設備をご提案することを大切にしています。