エレベーターには、巻上機や制御盤などの機器を設置する「機械室」を設けるタイプと、機械室を設けない「ルームレスエレベーター」があります。
ルームレスエレベーターとは、一般的にマシンルームレスエレベーターとも呼ばれ、巻上機や制御盤などの主要機器を昇降路内に収めることで、屋上や上部に機械室を設けずに計画できるエレベーターです。
建物の上部に機械室を設ける必要がないため、建築計画の自由度が高まり、限られたスペースを有効活用しやすい点が特徴です。
今回は、ルームレスエレベーターの基本的な仕組みやメリット、計画時に確認したいポイントについてご紹介します。


ルームレスエレベーターとは?
ルームレスエレベーターとは、従来は機械室に設置していた巻上機や制御盤などを、昇降路内に配置するエレベーターです。
一般的なロープ式エレベーターでは、かごと釣合おもりのバランスを利用し、巻上機でロープを動かすことでかごを昇降させます。ルームレスエレベーターも基本的な考え方は同じですが、機械室を別に設けず、必要な機器をコンパクトに配置する点が異なります。
そのため、建物上部に機械室を確保しにくい場合や、屋上スペースを有効に使いたい場合に検討されることがあります。

 

機械室ありとの違い
機械室ありのエレベーターでは、昇降路とは別に、巻上機や制御盤などを設置する専用スペースが必要になります。
一方、ルームレスエレベーターでは、これらの機器を昇降路内に収めるため、別途機械室を設ける必要がありません。
この違いにより、建物の高さや屋上部分の計画、設備スペースの使い方に影響が出ます。特に新築計画では、建物全体の設計と合わせて、機械室ありにするのか、ルームレスにするのかを早い段階で検討することが重要です。


ルームレスエレベーターのメリット
ルームレスエレベーターの大きなメリットは、機械室が不要になることです。
屋上や上部に機械室を設けないことで、建物の高さを抑えやすくなったり、屋上スペースを別の用途に使いやすくなったりします。
また、機械室をつくるための建築工事を減らせる場合もあり、建物計画全体の自由度が高まります。商業施設、倉庫、工場、既存建物への設置など、スペースに制約がある現場でも検討しやすい方式です。


計画時に注意したいポイント
ルームレスエレベーターは、機械室が不要になる一方で、昇降路内に機器を配置するため、計画時に確認すべき点があります。
例えば、巻上機や制御盤を設置するためのスペース、保守点検時の作業スペース、昇降路内の温度管理、換気、建物側の構造条件、雨対策などです。
昇降路内の温度が高くなりすぎると、巻上機や制御盤などの機器に負担がかかる可能性があります。そのため、設置環境によっては換気や空調などの検討が必要になる場合があります。
また、機器が昇降路内にあるため、保守点検の方法や作業性、乗場が野外に面している場合は雨水の吹込み対策も事前に確認しておくことが大切です。


荷物用エレベーターでもルームレスは検討できる?
荷物用エレベーターでも、建物条件や積載荷重、使用方法によってはルームレスでの計画を検討できる場合があります。
ただし、荷物用エレベーターは、搬送物の重量、かご寸法、使用頻度、フォークリフト使用の有無、建物側の条件などによって必要な仕様が大きく変わります。
特に大型・高荷重のエレベーターでは、巻上機や制御盤の配置、保守スペース、昇降路寸法、建物構造などを総合的に確認する必要があります。

 

よくある質問
Q. ルームレスエレベーターとは何ですか?
A. 巻上機や制御盤などの主要機器を昇降路内に収めることで、屋上や上部に機械室を設けずに計画できるエレベーターです。


Q. ルームレスにすると、どのようなメリットがありますか?
A. 機械室が不要になるため、建物上部のスペースを有効活用しやすくなります。また、建物の高さや屋上部分の計画にも柔軟性が出る場合があります。

 

Q. 荷物用エレベーターでもルームレスにできますか?
A. 建物条件、積載荷重、かご寸法、使用方法によって検討可能な場合があります。特に大型・高荷重の場合は、昇降路寸法や機器配置、保守スペースなどの確認が重要です。


まとめ
ルームレスエレベーターは、巻上機や制御盤などを昇降路内に収めることで、機械室を設けずに計画できるエレベーターです。
機械室が不要になるため、建物スペースを有効活用しやすく、建築計画の自由度を高められる場合があります。
一方で、昇降路内の機器配置、温度管理、保守スペース、建物条件、外部環境など、事前に確認すべきポイントもあります。
三洋輸送機工業では、建築物との兼ね合い次第ですが、高積載(8tエレベーターなど)が必要なエレベーターでのルームレス仕様の実績がございます。お気軽にご相談ください。


執筆者紹介
三洋輸送機工業株式会社 営業・技術担当
荷物用・人荷共用エレベーターを中心に、工場、倉庫、物流施設、既存建物など、さまざまな現場のご相談に対応しています。搬送物の条件だけでなく、建物条件や保守性まで確認し、安全で使いやすい設備をご提案することを大切にしています。