エレベーターは、制御盤、巻上機、ロープ、ブレーキ、扉まわりの機器、表示器(操作盤)、照明など、さまざまな部品によって動いています。
長年使用しているエレベーターでは、これらの部品が少しずつ劣化し、修理や交換が必要になることがあります。
しかし近年では、各種部品の生産中止や仕様変更により、以前と同じ部品をすぐに手配できないケースがあります。
例えば、かご内照明のLEDや表示器、制御機器など、一見すると小さな部品であっても、既設エレベーターとの適合確認や代替品の選定が必要になる場合があります。
今回は、エレベーター部品の供給終了とは何か、なぜ修理や改修に時間がかかるのか、そして古いエレベーターを長く安心して使うために確認しておきたいポイントについてご紹介します。


エレベーター部品の供給終了とは?
エレベーターは長期間使用される設備ですが、その間に部品メーカーの製品仕様が変わったり、古い部品が生産終了となります。
特に、電子部品、制御機器、表示器、照明機器、センサー類などは、時代とともに仕様が変わりやすい部品です。
そのため、古いエレベーターで不具合が発生した場合、以前とまったく同じ部品をすぐに手配できないことがあります。
このような場合には、代替品を探したり、既設設備に取り付けできるかを確認したりする必要があります。


なぜ修理や交換に時間がかかるのか?
エレベーターの修理や部品交換は、単に似た部品を取り付ければよいというものではありません。
エレベーターは人や荷物を安全に運ぶ設備であり、部品を交換する際には、安全性や適合性を確認する必要があります。
例えば、代替部品を使用する場合には、次のような確認が必要になります。
• 既設エレベーターに取り付けできるか
• 電源や制御方式に合っているか
• 他の機器と干渉しないか
• 既設の配線や取付部に対応できるか
• 安全装置や制御盤との連携に問題がないか
• 交換後も安全に使用できるか
そのため、部品が生産中止になっている場合は、代替品の選定、現場との適合確認、必要に応じた加工や調整が必要になり、通常より時間がかかることがあります。
当社としても、できる限り早く対応できるよう部品手配や代替品確認を行っていますが、安全確認を省略して作業を進めることはできません。
そのため、修理や改修の内容によっては、お時間をいただく場合があります。

 

古いエレベーターほど注意が必要です
長年使用しているエレベーターでは、部品の劣化だけでなく、部品供給の面でも注意が必要です。
古い設備の場合、制御盤の部品、表示器、押しボタン、扉まわりの機器、照明、センサーなどがすでに生産中止になっていることがあります。
普段問題なく使用できていても、故障したタイミングで初めて「同じ部品が手に入らない」と分かるケースもあります。
その場合、部品の手配に時間がかかったり、代替品の確認が必要になったりするため、復旧までの期間が長くなる可能性があります。
特に工場、倉庫、物流施設などでは、エレベーターが停止すると荷物の搬送や業務に大きな影響が出ることがあります。
そのため、古いエレベーターについては、故障してから対応するのではなく、早めに現在の状態を確認しておくことが大切です。

 

故障してからではなく、計画的な更新が大切です
エレベーターは、故障してから修理を考えるよりも、計画的に更新を検討することが重要です。
点検時に劣化が見られる部品や、今後供給が不安な部品がある場合は、早めに交換や更新を検討することで、急な停止リスクを抑えやすくなります。
また、制御盤や巻上機、ブレーキ、扉まわりの機器など、主要な部品が古くなっている場合には、部分的な修理だけでなく、リニューアルを検討した方がよいケースもあります。
改修や更新を計画的に行うことで、次のようなメリットがあります。
• 急な故障停止を防ぎやすくなる
• 部品手配の時間を見込んで計画できる
• 工事時期を調整しやすくなる
• 業務への影響を抑えやすくなる
• 将来のメンテナンス性を高めやすくなる
• 安全装置や機能の見直しも行いやすくなる
特に荷物用エレベーターや人荷共用エレベーターでは、日々の搬送業務に直結するため、計画的な改修が大切です。

 

修理と改修、どちらを選ぶべきか
不具合が発生した場合、すぐに修理で対応できることもあります。
一方で、古いエレベーターでは、同じ箇所の不具合が繰り返し発生したり、別の部品にも劣化が見られたりすることがあります。
そのような場合には、目の前の修理だけでなく、今後の使用年数やメンテナンス性を考えた改修も検討する必要があります。
例えば、表示器や照明などの一部部品であれば、代替品への交換で対応できる場合があります。
しかし、制御盤や巻上機、ブレーキなど主要機器の老朽化が進んでいる場合は、部分修理を繰り返すよりも、計画的に更新した方がよい場合もあります。
どちらが適しているかは、エレベーターの状態、使用頻度、部品供給状況、今後の使用予定によって変わります。
そのため、現地調査や点検結果をもとに、修理で対応するのか、改修を検討するのかを判断することが大切です。

 

よくある質問
Q. エレベーター部品の供給終了とは何ですか?
A. メーカーや部品製造元が、特定の部品の生産や供給を終了することです。古いエレベーターでは、制御機器、表示器、照明、扉まわりの部品などが供給終了になっている場合があります。

 

Q. 部品が生産中止になると修理できませんか?
A. 必ずしも修理できないということではありません。代替品の選定や改修によって対応できる場合があります。ただし、既設設備との適合確認が必要になるため、通常より時間がかかることがあります。

 

Q. LED照明の交換でも時間がかかることがありますか?
A. はい。既設器具の寸法、取付方法、電源条件、かご天井との納まりなどを確認する必要があります。同じ部品が生産中止になっている場合は、代替品の確認が必要になるため、お時間をいただく場合があります。

 

Q. 故障してから部品を手配すればよいですか?
A. 故障してから部品を探すと、部品供給終了や納期の長期化により、復旧まで時間がかかる場合があります。特に古い設備では、早めに状態を確認し、計画的な更新を検討することをおすすめします。

 

Q. 修理と改修のどちらを選べばよいですか?
A. 不具合の内容、部品供給状況、使用年数、今後の使用予定によって異なります。軽微な不具合であれば修理で対応できる場合もありますが、主要機器が古くなっている場合は改修を検討した方がよいケースもあります。

 

まとめ
エレベーターは多くの部品で構成されており、長年使用する中で修理や交換が必要になることがあります。
しかし近年では、各種部品の生産中止や仕様変更により、以前と同じ部品をすぐに手配できないケースがあります。
LED照明や表示器などの身近な部品であっても、既設エレベーターとの適合確認や代替品の選定が必要になる場合があり、修理や改修に時間を要することがあります。
お客様にはご不便をおかけすることもありますが、安全に使用していただくためには、部品の確認や安全確認を行ったうえで対応することが大切です。
古いエレベーターを長く安心して使い続けるためには、故障してからではなく、早めに現在の状態を確認し、計画的な修理・改修を検討することをおすすめします。
三洋輸送機工業では、当社の保守員からお客様へ生産中止部品や劣化部品について定期的にご連絡させていただいております。未然に不具合解消ができることも御座いますので、部品交換の際は、お早めにご検討いただけますと幸いでございます。

 

執筆者紹介
三洋輸送機工業株式会社 保守点検員
荷物用・人荷共用エレベーターを中心に、工場、倉庫、物流施設、既存建物など、さまざまな現場のご相談に対応しています。
搬送物の条件だけでなく、建物条件、使用方法、部品供給状況、保守性まで確認し、安全で使いやすい設備をご提案することを大切にしています。