エレベーターには、利用者や荷扱い者が安全に使用するため、さまざまな安全装置が備えられています。
その中でも、特に重要な安全装置のひとつが「戸開走行保護装置」です。※UCMPとは、戸開走行保護装置を表す言葉です。
「Unintended Car Movement Protection」の略で、エレベーターの扉が開いた状態で、かごが動き出してしまった時に自動で緊急停止させる安全装置です。
普段エレベーターを使っていると、安全装置を意識する機会はあまり多くありません。
しかし、万が一、扉が開いたままエレベーターが動いてしまうと、利用者の挟まれや転倒など、重大な事故につながるおそれがあります。
今回は、戸開走行保護装置とは何か、どのような役割を持つのか、既設エレベーターでも確認しておきたい理由についてご紹介します。


戸開走行とは?
戸開走行とは、エレベーターの扉が開いた状態で、かごが動いてしまうことをいいます。
通常、エレベーターは扉が閉まっている状態でなければ動かないように制御されています。
しかし、ブレーキや制御機器などに異常が発生した場合、想定外の動作が起こる可能性があります。
もし、乗場の扉やかごの扉が開いたまま、かごが上昇または下降してしまうと、乗り降りしている人や荷扱いをしている人にとって大きな危険となります。
特に荷物用エレベーターや人荷共用エレベーターでは、台車やパレット、重量物を扱うこともあります。
そのため、人の乗り降りだけでなく、荷物の積み降ろし中にエレベーターが意図せず動かないよう、安全対策を確認しておくことが重要です。

 

戸開走行保護装置とは?
戸開走行保護装置とは、エレベーターの戸が開いた状態でかごが動き出してしまった時に自動で緊急停止させる安全装置です。
一般的には、かごの位置や扉の状態、ブレーキや制御の状態などを監視し、異常な動きが発生した場合に、かごを制止させる役割を持ちます。
つまり、通常の制御だけに頼るのではなく、万が一の異常時にもエレベーターの動きを抑えるための安全対策です。
戸開走行保護装置は、単独の部品というよりも、検知装置、制御回路、制動装置などを組み合わせた安全システムとして考えられます。

 

なぜ戸開走行保護装置が重要なのか?
エレベーターは、日常的に使われる設備です。
工場、倉庫、物流施設、商業施設、マンション、病院など、さまざまな建物で使用されています。
普段は問題なく動いていても、長年使用しているうちに、ブレーキ、制御機器、扉まわりの部品などは少しずつ劣化していきます。
定期的な点検や部品交換を行うことはもちろん大切ですが、万が一の異常に備えた安全装置も重要です。
戸開走行保護装置は、エレベーターが想定外の動きをした場合に、人の安全を守るための装置です。
特に、古いエレベーターを長く使い続けている場合には、現在の安全基準に合った装置が備わっているかを確認することが大切です。

 

いつから必要になったのか?
戸開走行保護装置は、平成21年9月28日以降に着工するエレベーターについて、設置が義務付けられました。
そのため、現在の新しいエレベーターでは、戸開走行保護装置の設置が求められています。
一方で、それ以前に着工・設置された既設エレベーターの中には、戸開走行保護装置が設置されていないものもあります。
ただし、古いエレベーターだからといって、すぐに使えないということではありません。
大切なのは、現在どのような安全装置が備わっているかを確認し、必要に応じて安全性を高める改修を検討することです。

 

既設エレベーターでも確認が必要な理由
既設エレベーターについては、設置された時期や改修内容によって、必要な対応が異なります。
そのため、安全性を高めるためには、現在の設備状況を確認しておくことが重要です。
特に、次のような場合は確認をおすすめします。
• 長年使用しているエレベーターである
• 制御盤や巻上機などの主要機器が古くなっている
• 部品供給が不安になってきている
• リニューアルや改修を検討している
• 荷物の積み降ろし中に人が出入りすることが多い
• 人荷共用エレベーターとして使用している
既設エレベーターの状態を確認することで、今すぐ必要な対策と、将来的に検討すべき改修内容を整理しやすくなります。

 

リニューアル時に検討したい安全対策
エレベーターのリニューアルを行う際は、単に古くなった部品を交換するだけでなく、安全装置の確認も大切です。
例えば、制御盤、巻上機、ブレーキ、扉まわりの機器などを更新する場合、戸開走行保護装置を含めた安全対策をあわせて検討できる場合があります。
リニューアルの内容によっては、既設の部品を活かしながら必要な部分を更新するケースもあります。
一方で、安全装置や制御関係については、現在の基準や使用状況を踏まえて慎重に確認する必要があります。
特に荷物用エレベーターでは、搬送物の重量、使用頻度、台車やフォークリフトの使用有無、荷扱い者の動線なども関係します。
そのため、戸開走行保護装置を検討する際は、エレベーター単体だけでなく、実際の使われ方まで含めて確認することが大切です。

 

よくある質問
Q. 戸開走行保護装置とは何ですか?
A. エレベーターの扉が開いた状態で、かごが動き出してしまった時に自動で緊急停止させる安全装置です。UCMPと呼ばれることもあります。

 

Q. 戸開走行保護装置はいつから必要になったのですか?
A. 平成21年9月28日以降に着工するエレベーターについて、戸開走行保護装置の設置が義務付けられました。それ以前に設置された既設エレベーターの中には、装置が設置されていないものもあるため、現在の安全装置の状況を確認することが大切です。

 

Q. すべてのエレベーターに戸開走行保護装置は付いていますか?
A. 新しいエレベーターでは設置が求められていますが、古くから使用されている既設エレベーターの中には、設置されていないものもあります。設置時期や改修内容によって状況が異なるため、確認が必要です。

 

Q. 既設エレベーターでも後から設置できますか?
A. エレベーターの仕様や制御盤、巻上機、ブレーキ、建物条件によって異なります。既設設備の場合は、現地調査を行い、現在の状態を確認したうえで検討する必要があります。

 

Q. 荷物用エレベーターでも確認した方がよいですか?
A. はい。荷物用エレベーターや人荷共用エレベーターでは、荷物の積み降ろしや荷扱い者の出入りがあるため、安全装置の確認は重要です。特に古い設備や改修を検討している場合は、早めの確認をおすすめします。

 

まとめ
戸開走行保護装置とは、エレベーターの扉が開いた状態で、かごが動き出してしまった時に自動で緊急停止させる安全装置です。
UCMPとも呼ばれ、万が一の異常時にエレベーターの動きを検知し、かごを制止させることで、利用者や荷扱い者の安全を守る役割があります。
戸開走行保護装置は、平成21年9月28日以降に着工するエレベーターについて設置が義務付けられました。
一方で、それ以前から使用されている既設エレベーターの中には、戸開走行保護装置が設置されていないものもあります。
そのため、長年使用しているエレベーターや、リニューアルを検討しているエレベーターでは、現在の安全装置の状況を確認することが大切です。
三洋輸送機工業では、荷物用・人荷共用エレベーターを中心に、既設設備の状態確認や改修のご相談に対応しています。
戸開走行保護装置を含め、エレベーターの安全対策をご検討の際は、まずはお気軽にご相談ください。

 

執筆者紹介
三洋輸送機工業株式会社 営業・技術担当
荷物用・人荷共用エレベーターを中心に、工場、倉庫、物流施設、既存建物など、さまざまな現場のご相談に対応しています。
搬送物の条件だけでなく、建物条件、使用方法、安全装置、保守性まで確認し、安全で使いやすい設備をご提案することを大切にしています。